AR本多邸ぐらし

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もくじ
ごあいさつ /  やってみようAR /  作品一覧 /  アンケート結果

 

ごあいさつ

岡崎市旧本多忠次邸は、本多忠次氏が立地からインテリアまでこだわって建てた昭和初期の洋館です。東京都世田谷区から愛知県岡崎市に移築復原され、2012年に開館しました。しかし、現在の建物の姿からは、本多邸での日々の暮らしぶりや忠次氏の建物に対する思いがわかりにくくなっています。そこで本展では、AR(拡張現実)を用いて、かつてあったかもしれない本多邸の暮らしの風景を再現します。

 

日時・会場

2016年12月23日(金・祝) 9時30分から16時30分まで※終了しました
岡崎市旧本多忠次邸 展示室2(2階和室)
入場無料
※岡崎市旧本多忠次邸について詳しくはこちらへ

やってみようAR

※2017年12月現在、アプリ「Aurasma」は「HP Reveal」に変更されています。基本的な操作は同じですので、以下適宜読み替えてください。

  1. App StoreまたはGoogle Playから、アプリ「Aurasma」をダウンロードします。紫色で「A」をモチーフにしたアイコンが目印です。
  2. アプリをダウンロードしたら起動します。位置情報取得についての確認画面が出ますが、今回は使用しないので「許可しない」を選択してください。
  3. 右にスワイプして最後の画面になったら「skip」を選択してください。
  4. カメラが起動して7つの白い丸が画面に現れたら、画面下部中央にあるアイコンをタップしてください。

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  5. 画面下部にある虫眼鏡のアイコンをタップし、検索窓に「aneko」と入れて検索します。検索結果が出てきたら、「aneko's Public Auras」を選択してください。

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  6. 「aneko's Public Auras」の画面になったら、右上の「FOLLOWING」をタップしてフォローします。文字の横にある丸が○(塗りつぶされていない丸)から●(塗りつぶされた丸)になればフォロー完了です。画面下部中央の四角形のアイコンをタップすると、カメラが起動して7つの白い丸が現れます。
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  7. DMの表面(下の画像)にカメラをかざしてください。
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  8. 最初は画面上で7つの白い丸が動いていますが、しばらくすると二重丸が画面に表示されます。そのまま端末を動かさずに待つと、ARが現れます。
  9. ARが現れた後、画面下部中央にあるカメラのアイコンをタップすると、写真が撮影できます。
AR本多邸ぐらし アンケート結果
1.年齢とお住まいの地域を教えてください。(17件の回答)

 20歳未満 2人 / 20代 3人 / 30代 5人 / 40代 5人 / 60代 2人

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2.本日、旧本多邸に来た理由は何ですか?(17件の回答)
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3.展覧会の内容はいかがでしたか?(17件の回答)
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  • 初めての体験で良かった
  • QRコードなどを使わず、そのままの展示が作品に変わるのが斬新でした。
  • ARで場所に行って探すのが楽しいから
  • ARをしながらの観覧がよかったです
  • 建物を見物しながら+αで楽しめるため、2度楽しめる
  • 本多邸をまた違ったかたちで楽しむことができました。
  • ビギニング
  • いつもと違う空間に感じられたので。
  • 建物の特徴をとらえた演出、キャラクター

4.「AR本多邸ぐらし」のようなAR(拡張現実)を地域の歴史ある建物や文化財で体験できるとしたら、料金がいくらならやってみますか?(15件の回答)
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  • あまり使いなれていないため。
  • 端末のレンタル料など経費も必要なため
  • 子供のおこづかいで調度いいから
  • 100円くらいならいいかなと思った
  • 手軽に楽しめるくらいの料金で・・・
  • 知られていない分、無料の方が体験しやすいと思います。

5.お住まいの地域の歴史ある建物や文化財に興味はありますか?地域の歴史ある建物や文化財で「○○だったらいいな」と思うことはありますか?
  • 岡崎をもっと歴史文化で盛り上げる
  • 今あるスタンプラリーアプリや、過去にあったゲームコラボなどと絡みあわせるととてもおもしろい企画になると思います。 シテンニョーシカとのコラボも合いそうだと思います。
  • 興味はある
  • 歴史建造物は興味なり、入りやすい雰囲気だといいなと思います
  • 最近色々な城めぐりなどし、歴史建造物に興味が湧いてきた。 できれば、建物周囲の環境も残っていたらもっと楽しいなと思う。
  • 滝山東照宮、岡崎城などで体験できたらよいと思います。
  • すぐに思いつきません
  • もう少し調査・宣伝してほしい。
  • 空間をゆったりと楽しむ。 今回のように、暮らしている、使っている状況がわかるといいです。
  • あんまり・・・

 

6.ご意見・ご感想など、最後になんでもご自由にどうぞ。
  • 継続的に見れるようになると良いですね。
  • ガイドの方の説明がわかりやすくよかったです。ARもリアルな感じのものがあっても(本人写真とか・・・)おもしろいかなとも思いました。
  • ゲーム的な感覚もありとてもおもしろかったです。 場面によってはとてもシビアな所もあり、もう少し簡単に出ると良いかなと思いました。
  • 上手く写るところと写らない所があって難しかった。
  • AR、案内とても楽しく歴史に触れ感じることができました。
  • 2度楽しめて良かった。歴史と技術の融合みたいな感じ。
  • とてもおもしろいと思いました。 歴史ある建物や文化財に興味を持ってくれる人が増えると思いました。
  • ありがとうございました
  • いつもと違う見方ができて楽しかったです。
  • 今までの歴史ある邸宅の本多邸のイメージが、親しみやすい和める場所として楽しめました。 ありがとうございました。 他の建物でのARも見てみたいです。
  • 岡崎の他の文化財に広がるといいなと思う。 斎田広場にかざすとお田植おどりが見れるとか?(※注:斎田広場とは、岡崎市中島町にある悠紀斎田広場のこと。 詳しくはこちら
  • 初めてだったのでとても楽しめました。 かわいくて本多邸のクラシックなイメージに新たな見方ができました。 アプリがスマホの電源を消耗するので、専用の端末は不可欠ですね。

 

AR本多邸ぐらしを終えて

旧本多邸の来館者が約50人、そのうち29人の方にAR本多邸ぐらしを見ていただきました。
休日ということもあってか、ご年配の方(おそらく来館者の中心となる層)以外にも、東公園に散策に来た若者や子供連れの姿も多く見かけました。
お住まいの地域はやはり岡崎市が圧倒的に多いです。ただし来館者の半分くらいは私が声をかけた知り合いなので、岡崎市が多いのも当然かなと思います。
来館の目的で「AR本多邸ぐらしを見に来た」が一番多いのも、知り合い票の影響が大きいと考えられます。

肝心の展覧会の内容ですが、なんと「おもしろかった」が100%!とても嬉しいです!アプリをインストールして設定する手間がかかったり、部屋によってはARがうまく出てこなかったりなど、鑑賞者の方に親切とはいえない部分も多かったのですが、それでもおもしろいと言っていただけたのはありがたいことです。
VR/ARの市場は今後10年で大きく成長するという予測もあるので、ARはどんどん身近な技術になっていくのではないでしょうか。そうすると、文化財の活用にARを使うのもお手軽になると思います。ただし、今はARという技術の物珍しさで楽しんでもらえている部分もあるのでしょうが、今後簡単に導入できるようになった場合には、何をどう見せたいのかを真剣に考えていかないと、ありふれたつまらない内容になる可能性もあるでしょう。難しいことですが、この部分で他と差別化できれば大きな強みになりそうです。

そして、今回一番の関心である「いくらならやってみますか?」という項目ですが、ここは厳しい結果が出ています。「無料でなければ体験しない」が約半数でした。確かに、無料で楽しめるアプリが世の中にはたくさんあるので、お金を払ってもらうには他とは違う特別な価値をつけていかないといけないのでしょう。ただでさえとっつきづらい文化財の分野なので、まずは無料で、間口を広く難しいことを考えなくても楽しめるものを提供して、もっと知りたいと思う方向けに付加価値をつけた特別な内容を提供するという手段が有効そうです。いわゆるフリーミアムですね。
例えば今回なら、AR自体は無料で楽しんでいただいて、参加費をとる特別プログラムとして閉館後に学芸員の解説つきで邸宅内を回ることができるとか、いっそ本多忠次氏のご家族の方にARの内容と比較しながらかつての生活の様子をお話しいただくとかでしょうか?あと、現在は一般市民は貸展示室としてしか旧本多邸を利用できないようですが、手芸や工作などの教室に使っても楽しいかもしれません。というのも、応援に駆けつけてくれた友人が受付で待機しながらレース編みをしていて、昭和レトロな洋館で手芸するなんてすごく優雅でいいなと思ったからです。

文化財に対する「もっと○○だったらいいのにな」という思いは、人それぞれですね。あまり興味がないという方から具体的にこうだったらいいという方まで、これといった正解はないように思います。あえて言うなら、もっといろいろな文化財で楽しめる工夫がほしい、といったところでしょうか。
西野嘉章『モバイルミュージアム 行動する博物館』の中で、博物館にいつ行っても何かしらおもしろいことをやっているという状況を作り出すこと、大型企画展ばかりに頼るのではなく、様々な、ものによってはニッチ企画を複数行って博物館の事業全体の価値を上げて行くことが必要であると述べられています。また、デービッド・アトキンソン『新・観光立国論』では、観光に必要なのは「あれもこれもできる」ことが指摘されています。この両者の指摘、すごく大事だと考えます。1つの文化財に対していろいろな楽しみ方ができるようなコンテンツを常に複数提供して、いつ訪れてもおもしろい状態にしておきます。内容は無料で体験できるものからお金をいただいて行う特別感のあるものまで幅広く用意、常に実験と検証を行い素早くコンテンツを改善していく。民間企業では当たり前のことかもしれないけれど、そうやってはじめて「稼ぐ文化財保存」ができるのではないでしょうか。

最後の自由記述は、私一人では気づかなかったことを教えていただけるので、丁寧にいろいろ書いてくださるみなさまに感謝です。例えば、スマホの電池の消耗なんて、全く考えていませんでした。貸出用端末で遊んでもらう運用にすればいいのでしょうが、できればご自身の端末で写真を撮ってSNSに投稿してもらいたいという思いがあります。「SNSに投稿するためのかわいい・楽しい・おもしろい・素敵な写真が撮影できる」ことは、現在、人が行動を起こす重要な動機になっていると考えるためです。また、AR出現のトリガーとなる写真・風景の認識しやすさも、今後検証が必要な課題です。

最後になりましたが、AR本多邸ぐらしにお越しいただいたみなさま、アンケートにご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

2016年12月25日 あねこ