気づいたら1ヶ月以上も更新してなかったですね(・-・;)
7月24日(金) 名古屋市博物館の「魔女の秘密展」に行ってきましたー。
名市博の年間予定を見ていた際、偶然見つけて以来ずっと気になっていた魔女展。のんびりと「また今度行こう」と思っていると会期が終わっていた、というのはよくあることなので、今回は早めに行ってきました。
まず展覧会の入口。画像の右下に魔女のとんがり帽子があります。帽子を被って記念撮影が可能です。
入口でチケットをもぎってくれた係員の方も、とんがり帽子を被っていました!かわいい。
魔女についての知識なんてないに等しく、魔女狩りと魔女っ娘についてうっすら認識がある程度。どんな資料が展示されているのか、未知の領域へいざ!
魔女展、私の一押しポイントは、会場の造作でした。
まず、チケットをもぎってもらってから会場へ足を踏み入れる際、大きな木の扉(もちろん偽者)をくぐります。すると目の前に広がるのは、ヨーロッパの古い博物館を彷彿とさせる空間でした。背の高い本棚とそこに並べられた大きく分厚い洋書に、木製の展示ケース…知っているところだと、JPタワーにあるインターメディアテクに近い雰囲気かな?アクリルケースの中に資料が整然と並んでいるのを想像していたので、これは予想外でした。
前に読んだ愛知県美術館のブログで、博物館の展示と美術館の展示の違いについて触れていましたが、確かに、美術館の造作は白色の壁に作品を均等に並べて、それぞれ独立した作品として見せている場合が多い(そしてそういうイメージが強い)ですよね。空間を活かしてものが実際にあったように再現したり、当時の雰囲気を作りこんだりするのは、博物資料だからこその見せ方かなと改めて思いました。
そうして始まる「第1章〈信じる〉」では、人々が魔術や魔女を信じていた様子がわかる資料が並んでいました。私たちからすれば魔術や魔女はファンタジーの世界でしかないのですが、会場の雰囲気と資料が相まって、すんなりと魔女が身近にいた世界に入っていけました。しかし没入するのではなく、やっぱりあくまでどこか遠い世界を楽しむ感覚でした。
うって変わって「第2章〈妄信する〉」は、真紅の壁面に囲まれた空間でした。当時の世相や社会情勢、そこから起こる人々の不安、そして魔女狩りへ至る流れを知ることができました。魔女かどうかを判断するための5つの条件もこの流れの中で広まったとのことで、その中の1つに「空を飛ぶ」がありました。やっぱり魔女といえばホウキに乗って空を飛ぶイメージだもんね、と思っていたのですが、実は魔女が空を飛ぶための方法、全然ちがってびっくりでした。知らなかったよ…。
第2章が終わると、記念撮影のコーナーがありました。
まずは展覧会のメインビジュアルとのいうべき、ホウキに乗った魔女。これは楽しい。
もう1つ、牢屋に入れられた魔女…?
なんだか一気に不穏な空気です。
続いて「第3章〈裁く〉」へ。記念撮影コーナーの怪しい空気のまま木の扉をくぐるとそこには…高くそびえる石積みの壁、壁に開けられた窓は小さく、光はわずかな蝋燭の明かりだけの暗いくらーい空間が現れます。そして正面に目をやれば檻の中、1脚の椅子が鎮座しています。よく見ると椅子は棘で覆われていて、どうみても拷問椅子ですよ(((((°Д°;;)))))
とうとうきちゃったよ魔女裁判!裁判は異端審問→拷問→処刑の順番に行われ、ここでは一連の流れを体感できます。
まずは異端審問、教会の偉い人(?)に「こういう証言がある、だからお前は魔女だろ?」とひたすら責められて自白を強要されます。が、この証言、言いがかりにも程があるというか、ただのいちゃもん…。なぜそれを信じてしまった?なんで??という思いでいっぱいです。
そして審問でも自白しないと、次に拷問にかけられます。拷問道具と使い方の図解が展示してありましたが、想像するだけで痛くてつらい。拷問にかけられても自白がなければ無実ということで釈放だそうですが、多くの人は拷問の辛さに耐えかねて、自分が魔女であるという嘘の自白をしてしまうそうです。
自白により魔女だという判決が下れば、処刑されるしかありません。方法は大概が火あぶりの刑だそうです。展示では、映像で火あぶりの刑の様子を再現していました。もちろんイメージ映像なのでまったくグロテスクではないのですが、想像するだけでおそろしや。
映像では、処刑の様子をみている人々の様子も流れていました。思わず目を背ける人、淡々と見つめる人、悪しき魔女を処刑したんだとばかりに喜ぶ人…いろいろな人がいました。
処刑の際に斬首するために使った剣も展示されていました。解説によると、はじめは生きたまま火あぶりにしていたのですが、なかなか死ねずに苦しんだそうで、いつからか斬首してから火あぶりの刑に処していたとのこと。
斬首してからの処刑を「温情の審理」と表現していましたが、いやいやいや。ちょっと待ってよ、温情っていうならさ、そもそもいちゃもんつけたうえでの自白の強要をやめなよおおお!!!と思わずにはいられませんでした。個人的には一番のつっこみどころでした。
いよいよ最後、「第4章〈想う〉」です。今までの空気から一転、創造の源となった魔女ということで、魔女をモチーフにした芸術作品が並んでいました。第3章の暗さとは正反対に、基本は白い壁で、一部はキラキラと輝いていました。そう!こういうの!待ってた!!
ポスターにも載っていた作品《サバトへ行く前のレッスン》は、暗い背景の中、白く輝く娘さんの肌がまぶしくてやわらかそうで、触りたい衝動に駆られました。ぜひ生で本物を見ていただきたいです。
一番最後にはマンガ家さんたちが描いた魔女のイラストもあって眼福。真島ヒロ先生と古河美希先生のイラストもあって、少年マガジンを読んで育った身としては嬉しいことこの上ない♡『山田くんと7人の魔女』が激しく気になります。古河先生の前作『ヤンキー君とメガネちゃん』、おもしろかったんですよー!
資料の点数としては少なめかな?と思いましたが、今まで知ることのなかった魔女の世界に触れることのできた、いい展覧会でした。博物系の展覧会の中では、数少ないお気に入りです。楽しかった!
この思いを原動力に、魔女の館のジオラマとか作れたらもっと楽しいのでしょうが、いかんせんそこまで技術がなく…いつかのネタとして温めておきます。